真紀ちゃん すってんころりん
作 竹海 楼蘭
今日も元気な真紀ちゃん、スキップに合わせて左右のしっぽが軽やかに揺れています。
今日はいいお天気ですし、新設された滑り台の滑り初めができるとあっては、足取りが軽くなるのもうなずけるというもの。
学校から帰って、おやつよりも滑り台のほうを優先させただけあって、スキップして公園にまっしぐらです。
風雨に曝されて老朽化が進んだ滑り台が撤去されてからというもの、この日を心待ちにしていた真紀ちゃん、公園に着くなり、新しい滑り台に向かって一目散に駆け出しました。
「――わぁ……」
思わず立ち止まって滑り台を見上げた真紀ちゃんですが、無理もありません。新設された滑り台は、前のと比べても頑丈そうで、高さも斜度もそこそこと、これは滑り甲斐がありそうです。
けれども、人気のある滑り台のこと、多くの子供たちが順番待ちをしていることもあって、お行儀よくその最後尾に並んだ真紀ちゃん、早く滑りたくて心中穏やかではありません。
歓声を上げながら前の子たちが滑ってゆくのを、待ち遠しそうに眺めている間、どうせ順番待ちをしなくてはならないのなら、最初の一回だけでも思いきり滑ってやろうと、決意を新たにする真紀ちゃんでした。
しばらくして、ついに真紀ちゃんの番が回ってきました。階段を登って、滑り台のてっぺんから見える公園の景色は、いつ見ても絶景です。もう少し楽しんでいたいところですが、後がつかえているため、いよいよ滑り降りるときがやってきました。
「よーし」
と、スカートの裾を摘んで、勢いよく、まるで飛び込むようにして滑り出した真紀ちゃん。
そこまでは良かったのですが――。
真新しい滑り台は、ワックスが利いているらしく、ものすごくつるつるしています。そんな状態に飛び込んだのですから、滑り降りるスピードは、それはもう一瞬のことで、どちらかというと、滑り落ちるといったほうが正しい滑りっぷり。
おかげで、着地体勢をとる間もなく、真紀ちゃんは滑り降りたときの格好のまま、滑り台からぽーんと射ち出されてしまいました。
風にスカートの裾を翻しつつ、パンツ丸見えの真紀ちゃん、なんとお空を飛んでいます。
(すごい、飛んでる……!)
初めてお空を飛んだ真紀ちゃんも、それを見ていた他の子供たちも、びっくり仰天。
正確には飛んでいたのではなく、ただ単に跳んでいただけだったのですが、そう思ったのもほんの一瞬のこと、
――ずでん!
ものの見事にお尻から着地した真紀ちゃん、あまりの衝撃に息が止まってしまいました。
まだ夕方前なのに、目の前にはお星様がきらきらしています。すりむいてしまった手のひらもそうですが、次第に感覚の戻ってきたお尻の、それはそれは痛いことといったら!
「……ぁう〜……」
心配そうに子供たちが集まってきます。今にも泣いてしまいそうでしたが、小学校に入って少しはお姉さんになった真紀ちゃん、ここは我慢の見せ所です。
歯を食いしばって、こぼれそうになっていた涙を堪えて、無理やりにでも立ち上がろうとしたのですが、あらら……腰が抜けてしまって、思うように立ち上がることができません。
このままでは、ちょっとした騒ぎになってしまうかもしれません。騒ぎだけならまだいいのですが、場合によっては、せっかく新しくなった滑り台が、危険な遊具として撤去されてしまうことだって、充分に考えられることです。
もし、そうなってしまったら、二度と滑り台では遊べなくなります。それだけは絶対に嫌だと、気力を振り絞って立ち上がった真紀ちゃんの勇姿に、子供たちは感動の眼差しを向けています。真紀ちゃん、ちょっとしたヒーロー――いえ、ヒロインです。
それでも、無事立ち上がったところで、お尻の痛みにまったく変わりはありません。どちらかというと、尻餅をついたときよりも、じんじんとした痛みは増しています。
ひょっとして、ものすごい怪我をしてしまったのでは? と、真紀ちゃんは心配になりました。強くぶつけてしまったせいで、感覚が鈍くなっているだけなのですが、そういう風に思いはじめると、考えはどんどん怖い方向に向かっていきます。
ぱっと見、大丈夫そうにしている真紀ちゃんに安心して、また滑り台に群がっていった子供たちとは裏腹に、一人で心細くなってしまった真紀ちゃん、今度こそ泣いてしまうのではないでしょうか。
「――大丈夫かい?」
そこに、ふと救いの手が差し伸べられました。うつむいた真紀ちゃんが顔を上げると、そこには見知らぬおじさんの顔がありました。
おじさんがしゃがみ込んでくれているおかげで、真紀ちゃんのほうから見上げる必要はありません。結構なお年に加えて、お髭を生やしていることもあって、どことなく偉そうな人に見えます。
「おじさん、この近くでお医者さんをやっているんだけど、よかったら診てあげようか?」
真紀ちゃんにとって、お髭のおじさんからの提案は渡りに船でした。本当にひどい怪我だとしても、お医者さんだったら治してくれるかもしれません。
「……でも、お金持ってないよ?」
お医者さんに診てもらうには、どうしてもお金がかかりますから、真紀ちゃんのポケットのお小遣いだけでは、さすがに心許ないように思えました。
またうつむいて、ちょっとだけお鼻をぐずらせてしまった真紀ちゃんに、おじさんは笑って、
「今日は病院がお休みの日だから、お金はいらないよ。さ、早くしないと、治る怪我も治らなくなるよ」
と、真紀ちゃんを促しました。
こうして、真紀ちゃんはお医者さんだというおじさんの好意に甘えて、公園を後にしたのでした。
おじさんが経営しているという病院は、公園から少し行ったところにある、小さなビルの三階にありました。
確かに休診日のプレートがドアに下げられていて、受付のカーテンも閉まっていたので、お休みだということはわかりましたが、病院名の後に続く三文字を、その漢字をまだ習っていない真紀ちゃんは読めませんでした。
そこに書かれていたのは、『肛門科』――つまり、ここはそういう病院だったのです。
そんなことも露知らず、おじさんの後に続いて診察室に入っていった真紀ちゃん、診察台の上に乗るように言われて、素直に従いました。だって、ひどい怪我をしているかもしれないのですから、お医者さんの言うことは絶対です。
「じゃ、うつ伏せになって――そう、お尻高く上げて」
白衣を着たおじさんは、そう言いつつも、てきぱきと医療用の器具を並べ始めました。あまりお医者さんに罹ったことのない真紀ちゃん、見た目だけでは何に使うのかもわからない怪しげな道具の数々に、ひどく不安そうです。
万が一、手術しなければ治らないような怪我だったらどうしよう――不安が不安を呼んで、泣き出したくなる気持ちをぐっと堪え、言われた通りにおじさんのほうに向かってお尻を突き出しました。
「それじゃ、お尻を見るからね」
言うよりも早く、ぺろんとパンツを脱がされてしまった真紀ちゃん。ですが、恥ずかしいと思うよりも、お尻の具合のほうが気がかりです。
さすがに強く打ちつけてしまったために、お尻は赤く腫れていましたが、幸いなことに痣になったりはしていないようです。いえ、それよりも、何やら視線がエッチなおじさんのほうが気にかかります。
何気に真紀ちゃんのお尻に触れて、一見して診察しているように見えても、おじさんの視線はお尻の穴と割れ目に釘付けになったままです。可愛らしくすぼ
まったお尻の穴と、その下でぴったりと閉じた割れ目に顔を近づけて、じろじろと見るだけでなく、あまつさえ匂いなんかも嗅いだりしていますが、 真紀ちゃ
んのほうからは、そんなおじさんの様子は見えません。
真紀ちゃん、ピンチです。
「うーん……大丈夫みたいだけど、もう少し検査してみないとわからないなぁ」
わざとらしいおじさんの声にも、真紀ちゃんのほうは必死です。本当に大丈夫なのかどうかがわかるまで、これっぽっちも安心できないのですから。
「ちょっとだけ痛いかもしれないけど、どうしようか?」
あくまで真紀ちゃんに決断を迫るおじさん、実はとんでもないヤブ医者なのではないでしょうか。
「……大丈夫――我慢できるもん」
ここで痛い思いをするよりも、怪我かどうかもわからないままでいるほうが、真紀ちゃんにとっては心配の種です。消え入りそうな声でお願いすると、おじさんはいやらしい笑みを浮かべました。
「よし、それじゃあ、お尻の穴の中が大丈夫か、ちょっと検査するからね。自分で広げて見せてくれるかな」
声が弾んでいますが、そんなことにも気づかない真紀ちゃん、言われた通りに手を後ろに回すと、ようやく痛みも治まってきたお尻を左右に引っ張って、お尻の穴がちゃんと見えるようにしました。
緊張してか、固く閉じたままのお尻の穴に、おじさんは指で触れてきます。いつの間に準備したのか、ゼリーのようなものを塗った人差し指の冷たい感触に、真紀ちゃんは喉の奥で小さな悲鳴を上げました。
「はい、深呼吸して……そう、力を抜いて――」
つぷっ……。
大きく息を吸って吐いた途端、人差し指がお尻の穴に潜り込みました。
つぬぅ……。
「……ぁ……あ……あぁ……ぁあっ……」
お尻の穴から何かが入ってくる、普段だったら絶対にありえない感覚に、真紀ちゃんは声を抑えきれないようです。寒くもないのに体が震えて、鳥肌が立っていましたが、お尻に感覚が集中してしまっている真紀ちゃん、それどころではありません。
ぬぷちゅっ……。
とうとう、おじさんの人差し指の根元までが、真紀ちゃんの中に埋まってしまいました。
(……やだぁ……ヘンだよぉ……)
初めのうちは、ただ気持ち悪かったのですが、指が全部収まってしまうと、今度は何だかむず痒いような、切ないような気持ちになってきました。
さらに、指でおなかの中をぐりぐりされたり、軽く前後に出し入れされたりしたことで、診察台によだれが垂れてしまっていることにも、真紀ちゃんは気づいていないようです。
にゅぷ……にゅぷ……にゅぷ……。
触診するというよりも、悪戯をするように指を動かすおじさんも、そんな真紀ちゃんの様子に興奮してきたのか、いつの間にか中指まで動員してお尻の穴をま
さぐっています。が、当の真紀ちゃんはというと、それすらもすんなりと受け入れてしまったようで、前途多難――いえいえ、前途有望です。
真紀ちゃん、どうやら前のほうだけではなく、後ろのほうも素質があったみたいです。その証拠に、割れ目に滲んだ透明な雫が、今にもこぼれそうになっているではありませんか。
「むむ……これは、もしかすると――」
思わせぶりなおじさんの台詞に、真紀ちゃんのお尻の穴もきゅうっとすぼまります。
「――おなかの中に異常があるのかもしれないな……。早く手当てしないと、手遅れになるかもしれない」
口から出任せもいいところの診断結果でしたが、お医者さんを信用している真紀ちゃんの顔色は、一瞬で真っ赤から真っ青に変わりました。
あれだけ痛い思いをしたのですから、お尻の奥のほうが怪我をしていても不思議ではないと、そう思い込んでしまった真紀ちゃん、たとえ痛い注射をされたとしても、それで治るのなら構わないと、どうやら覚悟を決めたようです。
「……ちゃんと、治るの?」
「そうだね……おなかの奥のほうに特別なお薬を塗らなくちゃいけないから、指じゃ届かないかなぁ――」
恐々と振り返った真紀ちゃんの質問に、妙に間延びした言い方で、おじさんは答えをはぐらかします。
指で届かないのなら、他に治しようがありません。指より長いものがあれば話は別なのですが、用意された器具を見ても、とてもお薬を塗るのに適したものはないようです。
どうしようと思っているうちに、何だか、真紀ちゃんの目がとろんとしてきました。お顔も次第に赤くなって、おなかの奥から熱くなってきます。
「ふぁ……」
何故だか、無性にお尻がムズムズします。指が入っているところよりも奥のほうが、妙にむず痒いような、すごく切ないような感じがして、真紀ちゃん、じれったくて仕方なさそう。
知らず知らずのうちにお尻を左右に振っている真紀ちゃんは知らないことでしたが、潤滑剤代わりに使われたローションには、何やらエッチな気分にさせる成分も含まれていたようです。おじさん、抜け目がありません。
いつしかお尻の動きは左右から前後に変わって、お尻の穴だけではなく、割れ目もぱっくり開いてしまっています。そんな真紀ちゃんの様子に、おじさんはニヤニヤしながら、ここぞとばかりにチャックを下ろしました。
「……おじさんのおちんちんなら、奥までちゃんと届くかもしれないな。どうしようか?」
ちゅぽっ……ぢゅぽっ……ぢゅぼっ……。
そんな風に言われながら、おちんちんの先っぽであそこの入口だけをこね回されては、たまったものではありません。焦らされた上に、先っぽだけが出入りするいやらしい音も手伝って、おじさんの指が抜かれるなり、
「おしりぃっ……お尻にもぉっ!」
と、自分の指でお尻の穴をいっぱいまで広げた真紀ちゃん、さんざん悪戯されたのとお薬が効いてきたせいで、エッチモード全開です。
づぬっ……!
「はぅ……っ!」
びりっとした痛みが、背筋を駆け上がってきたのも束の間、
……ぬぷぷぅっ!
「んぁうぅうっ!」
お尻の穴を限界にまで広げて、おちんちんが一気におなかの奥へと突き進んできました。
あそこでするのとは違って、どこまでも際限なくおちんちんが入ってくるような感覚に、息が止まってしまいそうです。おなかの中がいっぱいになって、苦しいはずなのに、ようやく痒いところに手が届いたような、そんな不思議な気分がして――。
しょわぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ……。
お尻の穴でする初めてのエッチに、真紀ちゃん、思わずおもらししてしまいました。
ですが、無理もありません。だって、お尻の穴が開きっぱなしになっているなんて、これまでおトイレでしか経験したことがなかったのですから。
診察台の上はびちょびちょで、そこから甘酸っぱいような匂いが立ち込めています。おじさんはというと、そんなことは気にならないのか、真紀ちゃんの腰を両手でしっかり掴まえて、忙しなく腰を動かすばかり。
ぶぷっ! ぶぴっ! ぷぢゅっ! ぷひっ!
おちんちんが出し入れされるたびに、小さなおならみたいな音がしますが、恥ずかしがっている余裕なんてありません。痛かったのは、ほんの一瞬のこと、そ
れからはおトイレでしか味わえないあの気持ちよさが、ずっと続いているようなものですから、真紀ちゃんとしても、お尻でするエッチにすっかり病み付きで
す。
「……ぅんんっ! ヘンにっ! ヘンにぃっ……なっちゃ……ぁうぅうっ!」
エッチなことに関しては、人一倍素質のある真紀ちゃんのこと、お尻でするエッチに早くも慣れ始めているようです――ええ、それはもう、困ったことに。
あそこから太腿にかけて、エッチなよだれを垂らしているとあっては、おじさんがさらにハッスルするのも道理でしょう。診察台に四つん這いになった真紀
ちゃんの、後ろから後ろを攻め立てているおじさん、いつもは使っていない腰が、無理が祟って赤信号を出しているのにも気づいていないご様子。
「――おぉおッ! で、出る……ッ!」
びゅぐっ! びゅくっ! びゅくんっ! ――グキッ!?
真紀ちゃんのお尻に腰を押しつけるような体勢で、おなかの中にたっぷりと射精したおじさんの腰から、何やら変な物音がしました。
「っあ……ふぁ……っ……ぁあぁ……っ」
おなかの奥にたっぷりと注ぎ込まれるお薬――と思い込んでいるもの――に、背筋を震わせた真紀ちゃん、ぼーっとした頭の中で、これで怪我も治るに違いないと一安心。
「あ、あわわ……うわっ!」
よろよろと離れて、尻餅をついてしまったおじさんには目もくれず、真紀ちゃんはしばらくその余韻に浸っていました。
ぷ……ぶぷっ……ぅぎゅぢゅぅうぅ……。
お尻の穴から、あぶくになった精液が溢れ出してきます。せっかくのお薬なのに、出してしまうのはもったいないと、お尻に力を込めようとするのですが、どうしても上手くいきません。
「……ぁは……」
しばらくは元通りになりそうにないお尻の穴から、割れ目のほうにとろとろとこぼれてくるお薬、もとい精液の温かさに、すっかりご満悦の真紀ちゃんです。
ともあれ、こうして真紀ちゃんの心配事は、お尻の初めてと引き換えに、無事解決したのですが――。
あの日以来、どうもお尻の穴がひりひりして仕方のない真紀ちゃん、またまた心配になって、おじさんの病院を訪ねることにしました。
公園からの道は覚えていたので、迷子にならずに病院にやって来られた真紀ちゃんでしたが、色々と残念なことに、病院はお休みでした。
『院長急病につき、しばらくお休みいたします』
そんな張り紙がしてありましたが、習っていない漢字では読めるはずもなく、その原因が何なのかも知らない真紀ちゃん、ここは出直すことにしました。
公園の滑り台は相変わらずの人気ですが、お尻が痛むせいで、しばらくはご無沙汰です。早く滑れるようになるといいな――と思いながら、病院を後にした真紀ちゃんでしたが、復帰の日はそう遠くありませんでした。
一方、おじさんのほうはというと、歳が歳なだけに、なかなか復帰できないようでしたが、真紀ちゃんの(お尻の)初めてのお相手ということもあって、これくらいのペナルティはあってしかるべきだったのでしょう。
とは言うものの、この一件以来、滑り台で遊んでいると、何やらお尻の奥がムズムズするようになってしまった真紀ちゃん、これはこれで一種の病気なのかもしれません。
こればっかりは、お医者さんでも治しようがないですよね?
おわり