真紀ちゃん 夏 真っ盛り
作 竹海 楼蘭
みーんみんみんみんみんみーん……。
じーわじーわじーわじーわじーわ……。
ミンミンゼミとアブラゼミの大合唱が、過ぎゆく夏を惜しんでいるようにも聞こえる八月の終わり――。
子供たちにしてみても、もうすぐ始まる二学期への期待よりも、あと数日を残すところとなったとなった夏休みへの未練のほうが強いに違いありません。遊び
たい放題に遊んだ疲れと、手つかずのまま残っている宿題に、身も心も悩ましさでいっぱいの今日この頃、といったところでしょうか。
そのせいか、早朝のラジオ体操への参加は言うに及ばず、夏休みの間じゅう開放しているプールに訪れる生徒の数も、日に日に少なくなっている気がします。
ラジオ体操をサボるなんて、一昔前なら考えられなかったことが平然と罷り通るのも、果たして時代の流れの一言で片付けていいものやら……。
とまあ、そんなおじさんじみた感傷はさておき、やはり気になるのは、小学校に入って初めての夏休みを満喫しているであろう真紀ちゃんの様子です。
ラジオ体操とプールのスタンプシート、両方の皆勤賞を目前に控えた真紀ちゃんのこと、遊び疲れや宿題に悩まされることなく、最後の最後まで充実した夏休
みを過ごすことでしょうが、例のお兄さんとその後どうなったのか、お知りになりたい方もいらっしゃるんじゃありませんか?
ではでは、夏休み最後の週末を迎えた真紀ちゃんの一日を、ちょっぴり覗いてみることにいたしましょう――。
この月末にきて利用者が十人を割る日も少なくないプールは、土曜日――午前中しか開放していないのです――ということもあってか、いつにも増して利用者に恵まれていませんでした。
監視員のアルバイトを続けてきたお兄さんからすれば、生徒が日に日に姿を見せなくなるということは、やはりというか寂しいものがありましたけれど、ラジ
オ体操への参加率もどんどん下がっているというこのご時世、目の前のプールで戯れているようなアウトドア派の小学生のほうが珍しいのかもしれません。
ほぼ貸切に近い状態のプールの中、とびきり日に焼けているおかげで一際目立っている真紀ちゃんは、さしずめその代表格といったところでしょうか。上級生
や男の子たちと一緒になって、利用者が少ないからこそできるビーチボール遊びに夢中になっている姿は、見ていて微笑ましくすらあります。
「お兄ちゃんもやろーよー♪」
水飛沫を上げつつ、ぶんぶんと腕を振ってくる真紀ちゃんに誘われて、テントの日陰から直射日光の照りつけるプールサイドへやってきたお兄さん、ダイバーズウォッチに目を向けたところ、そろそろ終了時間の正午に差し掛かろうとしていることに気づきました。
「もう終わりの時間だけど――」
「えーっ」
「やだー!」
「もうちょっとー」
監視員としての職務をまっとうしようとするなり、非難がましい声と水とを一緒に浴びせかけられたとあっては、苦笑いするしかなかったお兄さん、
「――じゃ、三十分だけだよ?」
そう言って、濡れたTシャツのまま、さぶんとプールに飛び込んだのでした。
「わーい♪」
「やったぁー!」
「さっすがー」
現金なもので、真紀ちゃんをはじめとした子供たちは大喜び。
本来は利用時間をきっちり守らないといけないのですが、当直の先生は今頃クーラーの利いた職員室で居眠りの真っ最中でしょうし、せっかくのところに水を差すのも気が引けます。
これまでの経験からしても、土曜日の当直を任されている四年二組担任の東海林先生のルーズさといったら、それはもう施錠の確認もろくすっぽせずに帰宅してしまうくらい並外れていましたから、ちょっとくらい時間をオーバーしたところで何の問題もありません。
それに、思うところもあるし――と、輪になっている子供たちのほうに泳いでいったお兄さんは、ビーチボールに掴まってぷかぷかしている真紀ちゃんのあそこを、他の子に見つからないように指でそっとなぞりました。
「ひゃ……っ!」
素っ頓狂な声を上げたのとボールから手を滑らせたのが同時だったおかげで、誰にも怪しまれずに済んだのは幸いでしたが、なかなかどうして、お兄さんも怖いもの知らずです。
「……ね?」
手を滑らせた拍子に水中に沈んだ真紀ちゃんを引き上げる振りをしつつ、お兄さんはさり気なくその背中におちんちんを押し当てさせました。
「……うん」
それが何の合図なのか、それとなく真紀ちゃんは察したようですが、もしも日焼けしていなければ、真っ赤になった頬っぺたを不思議がられていたかもしれません。
いやはや、何やら秘密めいたものを感じますけれど、今はボール遊びのほうが大事。
「いっくよー♪」
見よう見真似のトスで明後日の方向に飛んでいったビーチボールは、まだまだ夏を感じさせる強い陽射しを受けて、きらきらとそれ自体が輝いているようでした。
「バイバーイ」
「さよーならー」
「はい、気をつけて帰りなよ」
プレハブの更衣室から出てくるなり、スタンプを捺されたシートを受け取って、めいめいに帰ってゆく子供たちに一声ずつかけながら、お兄さんは手元に残った最後の一枚に目を落としました。
夏休み初日の七月二十四日から、ずらっとスタンプが続いているそのシートの氏名記入欄には、拙い平仮名で『まきいまき』とあります――その意味するところは一つ、更衣室に残っているのは、もはや真紀ちゃんただ一人のみ、ということです。
いくら女の子の着替えにかける時間が長いからといって、つい今しがた帰っていった四年生の双子の女の子よりも遅いというのは、真紀ちゃんの行動パターン
を考えればありえないような気もしますが、かれこれ三十分あまり、一向に出てくる気配がないのですから、いささか心配にもなるというもの。
「そろそろ大丈夫かな……」
ですが、事前に示し合わせていたお兄さんからしてみれば、まったく心配するようなことでもなかったのでした。
「……よし、誰もいない」
注意深く周囲を見回して、誰もいないことを確認すると、お兄さんはシャワーなどの元栓を閉めつつ、更衣室のある方向へと足を向けました。
監視員という立場ではありますが、プール周りの管理も一任されているので、別段、更衣室に入ったところで咎められるような筋合いもありません。万が一、
当直の先生に見つかったとしても、なかなか出てこない生徒がいるから心配になった、などと適当な理由をつければ済むだけの話です。
こういうのも果たして役得と言っていいものやら、『女子用』と記されたドアのノブに手をかけたお兄さんの魂胆は、実に見え見えなのでした。
「お待たせ――うわっ、あっつ〜」
そっと身を滑らせたドアの向こう側、十二畳くらいのスペースにロッカーが立ち並ぶ更衣室は、水と薬品と汗とが入り混じった匂いと熱気に満ち溢れていました。
「待ってたよぉ……」
むっとする空気のこもった更衣室の奥、着替えもせずに水着姿のままでいた真紀ちゃんは、ちょっぴりのぼせてしまったような声で応えました。
さすがに窓を開けるわけにもいかない密閉空間とあって、中はサウナ室みたいになっているわけですから、のぼせるのも無理ありません。小麦色を通り越してチョコレート色に近いお肌に浮かんだ玉の汗が、この中がいかに暑かったのかを物語っているようです。
「ごめんごめん。さっきの二人、あんなに時間かかるなんて思わなくてさ」
「美桜ちゃんと桃香ちゃんのこと? ……ここで、ずっとおしゃべりしてたよ?」
スタンプシートに書かれたそれぞれ名前から、てっきり『みさくら』と『ももか』だとばかり思っていたお兄さん、実際のところ『みお』と『とうか』だと知って、余計な恥をかかずに済んだのは幸いでした――って、そんなことはさておき。
「あっついよぉ……」
「ほんと、すごい汗」
手の平でぱたぱたとお顔を扇いでいる真紀ちゃんの水着に、勝手知ったるかのように手をかけたお兄さん、ストラップを肩から腕のほうにずらすと、日に焼けていない部分がより白く見えるのに、思わず生唾を飲み込みました。
「ぁ……ん」
そのまま下の方にずらしてゆくと、白っぽい肌色の中にもピンク色のおっぱいが覗いて、ナイロンの生地に擦られるその感覚に、真紀ちゃんってばついつい甘ったるい声を出してみたり。
「先っちょ、もうツンってなってるよ――ん、汗でしょっぱいね」
ちゅばっ……。
先っぽ以外、膨らみの『ふ』の字もないぺったんこなおっぱいに吸いついたお兄さんは、伝い落ちてくる汗のしょっぱさを味わいつつも、さらに両手を後ろに回して、今度はお尻と水着とのぴっちりとした境界線に指を挿し入れました。
きゅっ……!
「ふぁ……ぁうっ……」
そのまま、割れ目とお尻の谷間に水着を食い込ませるようにすると、半脱ぎの上にTバック&Tフロントという格好の一丁上がり。
いやはや、見ようによっては裸よりもいやらしい格好ですが、暑さで意識が朦朧としてきている真紀ちゃんのこと、恥ずかしいなんて思う余裕すらなかったことでしょう。
「美桜ちゃんか桃香ちゃんが戻ってきたら、びっくりするかもね」
おっぱいから口を離したお兄さんの意地悪な言い回しも、この夏休みで性感に目覚めてしまった真紀ちゃんにとっては、もはや気持ちを昂ぶらせるものでしかありません。
プールからの帰り道、ほぼ毎日に渡ってお兄さんのお部屋に立ち寄って、エッチというエッチに明け暮れてきた結果、ちょっとした刺激でもスイッチが入って
しまうまでに至った真紀ちゃん、食い込んだ水着の上からでもわかるくらい、ぬるぬるした愛液を滲ませていました。
「見られ……ちゃう?」
熱にうかされているかのような声も艶っぽく、あそこと同様に瞳もうるうるしてきた真紀ちゃんってば、この言い逃れできない状況を目撃されてしまう危険性よりも、このもどかしくも昂ぶった状態をどうにかしてほしいという欲求で頭がいっぱいのようで、
「……見られちゃったら……どうしよう――」
なんて言いつつ、汗ばんだ体でお兄さんにしなだれかかっていったのでした。
「――大丈夫、ここなら陰になってるから、すぐには見つからないよ」
全体重を乗せられたところでたかが知れている真紀ちゃんを抱きとめながら、入口正面のロッカーの後ろに場所を移したお兄さんは、片手で真紀ちゃんの股間に食い込んでいる水着を脇にずらしつつ、自分の水着の紐にも手をかけました。
……ぼろんっ!
「きゃんっ」
跳ね上がるような勢いで現れたおちんちんに軽いアッパーカットをくらいそうになって、仕返しとばかりにぎゅっと掴みかかった真紀ちゃん、
「ぁむぅ……」
ぢゅうぅうぅ……っぽ!
こちらもそろそろ蒸れはじめていたおちんちんの生っぽい味と、密集した陰毛が醸し出すむわっとする匂いも、慣れた今では美味しく、芳しくさえ感じられました。
本当はもっとゆっくりおしゃぶりしていたいところでしたが、全体によだれをまぶす程度に留めておくことにしたのは、何も暑さによるものばかりではなく、じれったさによるところが大きいようです。
本番にさしあたっての前戯というには、あまりにも時間と手間暇を省いているようにも見受けられますが、たかがこれしきのことで、真紀ちゃんの受け入れ態
勢とお兄さんの挿入体勢が整ったわけですから、この夏にどれだけのことがあったのか容易に想像がつくというもの。
「おいで」
ロッカーに背中を預けて座り込んだお兄さん、あの夕立の日以来の更衣室でのエッチを前にして、声にもどことなく緊張したような響きがあります。
「うん……ぅ……ぅうんんっ!」
ちゅ……ちゅくっ……ずにゅうぅ……。
おちんちんに片手を添えて挿入角度を微調整することしばし、ゆっくりと腰を落としてゆくと、熱い異物感が気持ちよさとなって背筋を駆け上がってくるのがわかりました。
「んぅうんっ! ぉちんちぃ……ひぃっ……ん!」
おちんちんの大きさにあそこを馴染ませるようにして、自分の意志でもって体重を乗せてゆく真紀ちゃんってば、この暑いのに鳥肌なんか立てて、すぐさま達してしまいそうなのが窺えます。
お兄さんもそれは同様で、取り巻く空気よりも熱く絡みついてくる膣内に迎え入れられただけで、早くも射精感が込み上げてきたのか、座ったままの体勢で自然と腰を突き上げていました。
とはいえ、太陽が中天にさしかかるこの時刻、ゆっくりしていたら、二人とも脱水症状を起こしてしまうのは目に見えています。
プール遊びで疲れている上に、ハードな運動をさせるのも気が引けますが、体勢が体勢なだけに、真紀ちゃんに動いてもらわなければならなかったお兄さん、
「ほら、ちゃんと動かないと……いつまでも気持ちよくなれないよ?」
きゅっとおっぱいの先っぽを摘むと、まるでそれがスイッチだったかのように、真紀ちゃんの腰が上下しはじめました。
「ぁんっ! あっ! ゃんっ! ひゃうぅんっ!」
ぢゅぽっ! ぢゅぷっ! ぢゅぽぉっ! ぢゅぷぅっ!
ちょうどゼッケンが捲れるくらいにまでずり下げられた水着のおかげで、肌色と小麦色、それに紺色のトリコロールが目まぐるしく縦に揺れ動いています。
抓まれたおっぱいをくりくりと弄られ、剥き出しにされたあそこにおちんちんを突き立てられて、異なる二つの快感をいっぺんに味わっている真紀ちゃんのダンスは、反復回数に比例して激しさと水音を増していました。
「ふぁっ! ぉく……奥にぃっ……はぃってきちゃうぅうっ!」
ぐりゅっ! ぐりゅうぅっ!
「ぅんぅうっ! っちゃあっ! もぉっ……イっちゃ……ぁあぁあぁ――ッ!」
自ら胎内の奥深くまで迎え入れたおちんちんに子宮口をこじ開けられる感覚に、更衣室の外にまで聞こえてしまいそうな大声を張り上げた真紀ちゃん、全身にびっしょりと汗を浮かせて、早くも一回目の絶頂に追いやられてしまった模様。
ぎゅ……ぐりゅうぅっ! ……ぎゅぷんっ!
「……っは……ぁ……っくぅ……」
鈍い痛みもほんの一瞬のこと、一番深いところまでをいっぱいにされたいま、真紀ちゃんは半ば白目を剥いて、きゅうっと子宮全体を締めつけさせました。
土曜日の午後、誰も訪れることのない更衣室で繰り広げられる秘め事は、場所が場所であっただけに、いつもと違った刺激をもたらしたのは言うまでもありません。
この更衣室に端を発し、お兄さんのお部屋で、夏祭りの境内で、遊園地の観覧車で、人気のない海辺でと、時と場所を選ぶことなくエッチ三昧の日々を送って
きた二人のこと、言わば一巡してスタート地点に立ち返ったようなものですから、無意識のうちに体がこの環境に順応してしまったとしても何ら不思議ではなく
――。
「……ぅあ……ッ!」
びゅぎゅっ! びゅぎゅりゅっ! びゅぐんっ!
子宮の収縮を受けて、あっけないほど早く真紀ちゃんの奥深くで爆ぜたお兄さんもまた、ここには特別な思い入れがあったに違いありません。
びゅくっ! びゅくっ! びゅくっ!
「ふぁ……おにぃ……ちゃぁん――」
カタカタとロッカーを震わせて、窮屈すぎる胎内にありったけの精液を注ぎ込んでいるお兄さんの表情は、真紀ちゃんのおなかをさらにきゅんとさせました。
「――おちんちん、おなかで……びくっびくってぇ……してるよぉ……。あっ! あっ! ぁんっ!」
膣内を満たしたおちんちんが跳ね動くたび、おなかの奥も熱く満たされていって、もう暑ささえ感じられません。
この夏、幾度となく味わった、暑さが涼しさに取って代わる瞬間――引いていった波が、また違った波となって押し寄せてくるそのタイミングに合わせるように、真紀ちゃんの背筋がぴんと反り返りました。
「……あっ……あっ! ……あッ! ……あ――ッ!!」
一回目の絶頂が打ち上げ花火なら、今度の絶頂は線香花火のようなものでしょうか。
ちりちりと灼けつくような快感の細波が、全身に甘ったるい波紋を残して消え失せてゆくような、そんな絶頂の只中にあって感じられるのは、お兄さんとこうして繋がっていられることの気持ちよさ、ただそれだけ――。
「……ぁ……おとんちん……抜けちゃう……」
……ぬぽぉ……っ……。
膣圧によっておちんちんが半分ほど押し出されるなり、結合部からこぽこぽと溢れ出してきた精液と愛液の入り混じったいやらしくも甘ったるい匂いが、熱気と湿気とをより増した空気の中に漂いはじめました。
お互いに呼吸は乱れっぱなし、全身汗だくの満身創痍と言っても差し支えない有様でしたが、二人にとって意味のある場所で味わう独特の気だるさの中にも、心地よささえ感じられるのですから不思議なものです。
「……かき氷でも食べて帰ろっか」
「うん……あたし、イチゴがいいな……」
もう少しこのままでいてもよかったのですが、お兄さんの提案のほうが魅力的だったと見えて、早くもリクエストなんか出しちゃっている真紀ちゃん、誰よりも熱い夏を体験したところで、まだまだ花より団子といったところでしょうか。
いえ、そんなマイペースさこそが、天真爛漫を絵に描いたような“真紀ちゃんらしさ”なのかもしれません。
「すぐ着替えるから、待っててね♪」
ついさっきまでとは打って変わって、汗で前髪を額に張りつかせたまま、日に焼けた頬っぺたを綻ばせる真紀ちゃんの笑顔は、暑い夏を彩る大輪の向日葵にも似て――。
夏休みの終わりを目前に控えてなお、真紀ちゃんの夏は未だ真っ盛り。
残る数日もこれまでと同じようにして過ごすのでしょうが、それはまた別のお話ということで、今回はお開きにいたしましょう。
おわり