真紀ちゃん クリスマス

作  竹海 楼蘭


 十二月二十四日――今日は言わずと知れたクリスマスイブ。
 すっかり葉を落としてしまった木々も華やかな電球の実をつけて、めいめいにデコレーションされた町並みは、お空の上から見下ろしたら、きっと大きなクリスマスケーキのように映ることでしょう。
 通りを行き交う人の足取りもどこか軽やかで、これから迎える聖夜を心待ちにしているような、そんな雰囲気が眞木ノ町全体を優しく包み込んでいます。
 そうそう、聞いたところによると、何でも聖夜には奇跡が起きるのだそうな。
 確かに、眠っている間にこっそりと枕元に届けられるサンタクロースの贈り物は、子供たちにとっては奇跡以外の何物でもないでしょうし、童話一つをとってみても、聖夜ならではの心温まる物語は枚挙に暇がありませんしね。
 そう考えると、午後になって降り出した雪も、サンタクロースの贈り物だったのかもしれません。
 聖夜を彩るに相応しい、真っ白な雪――地上に舞い降りた奇跡は、クリスマスイブにどんな幸せをもたらしてくれるのでしょうか。
 それでは、物語のはじまりはじまり――。


 朝から降り続けていたみぞれ混じりの雨が雪に変わる頃、お兄さんは一人、傘も差さずに気落ちした表情で家路に着いていました。
 クラブ活動とアルバイトに専念し過ぎたおかげで、期末テストの結果は惨憺たる有様――せっかく冬休みに入ったというのに、その初日から補習とあっては、がっくりと肩を落としているのも頷けるというもの。
 加えて、黙っていても目に入る色とりどりのショーウィンドウやら、スピーカーから否応なしに聞こえてくるBGMやらが、いかにもといった雰囲気を振り撒くほどに、お兄さんのほうは追い討ちをかけられるわけですから、見ているこっちのほうが辛くなるほど。
 今日は、世間一般で言うところのクリスマスイブ――だというのに、アルバイト禁止令を言い渡され、大晦日と三箇日を除いてびっちり補習の日程を組まされてしまったとあっては、とんでもないプレゼントもあったものです。
 仕送りの負担を少しでも減らそうと、大学に推薦で入学して学費を少しでも軽くしようと、精一杯の親孝行をしてきた結果がこれなのですから、お兄さんが気 落ちするのも当然と言えば当然のこと。いくら学業の本分が勉強だからといって、これではあまりにもあまり過ぎるのではないでしょうか。
「……はぁ〜」
 頭のてっぺんにそろそろ雪の帽子ができはじめているお兄さん、年末年始に帰省するための算段も立てられず、クリスマスもお正月もアパートに一人きりで過ごすことを思うと、深いため息をこぼさずにはいられませんでした。
 せめて決まったお相手でもいれば話は別なのでしょうが、放課後はクラブ活動に、休日はアルバイトにと勤しんできた身では、残念ながら望むべくもありません。
 それに、夏休みにアルバイト先の小学校のプールで出会った女の子のことを思うと、おいそれとは特定の交際相手を選ぶこともできない、今となっては珍しくも一途なお兄さん、知らず知らずのうちに二度目のため息をついていました。
 急な夕立に見舞われたプールの更衣室での一件以来、夏祭りにプールに海にと、親密なまでに親密な関係を築いてきた、ツインテールがチャームポイントの女の子のことは、この数ヶ月間、一日たりとして忘れたことはありませんでした。
 一回り近く年齢が離れているとはいえ、本気と書いてマジと読ませるくらいにぞっこんだったことは、こうして鞄の中にプレゼントを忍ばせていることからも窺えます。
 けれど、約束も取りつけられないままに迎えたクリスマスイブ当日、そろそろ日も落ちはじめた町並みをとぼとぼと歩くお兄さんは、このプレゼントを渡す機会が二度と訪れないだろうことを、予感めいた中で確信していました。
 そう――それこそ、奇跡でも起きない限りは。
「……真紀ちゃん――」
 いつも愛くるしい笑顔を見せてくれた女の子のことを想って、ぽつりと名前を呟いたところで、返事が返ってくるはずもありません。
 思い起こされるのは、どんなときでも笑顔を絶やさなかった無邪気な表情と、どんな場面でもエッチに応えてくれた無防備な仕草――あの真紀ちゃんが、再び 同じ表情と仕草でもって自分の前に現れてくれるなど、この数ヶ月間のブランクを考えれば、限りなく0に近いというのに。
 それでも日々思い返さずにはいられない、暑くて熱かった夏休みの出来事に、ふいに失恋にも似た感情が湧き上がってきた――そのときです。
「――ぅおわっ!?」
 まるでタックルでもかまされたかのような背後からの急な衝撃に、二、三歩、前のめりにつんのめってしまったお兄さん、水球部で鍛えた抜群の足腰でもって、何とか転ぶことだけは免れました。
 とはいえ、心臓が口から飛び出るくらいにびっくりしたことは変わりなく、もしこれが悪友のしでかしたことなら、一発くらい小突いてやろうと振り返って――。
 振り向いた先には、誰の姿もありませんでした。
 いえ、正確には、振り向いて見下ろした先にこそ、びっくりさせてくれた張本人がいたと言うべきなのでしょうが。
「お兄ちゃんっ♪」
 ジャンパーの裾をミトンの手袋ごしにしっかりと掴まえている、真っ赤なフードつきのハーフコートと真っ白なタイツとのコントラストが、どことなくサンタ クロースを連想させる女の子は、童謡にあるトナカイみたいにお鼻の頭を赤くして、すごく嬉しそうにしています。
 見知った顔のはずなのに、状況の整理がつかないといった感じで、お口をぽかんと開けることしかできずにいたお兄さん、降ってきた雪が舌先に触れた冷たさのおかげで、ようやく我に返ることができたようです。
「――真紀……ちゃん?」
 ややあって紡ぎ出された呼びかけともとれない言葉に、お兄さんの身長の半分にも満たない女の子――言わずと知れた真紀ちゃん――はフードからひょっこり飛び出した“しっぽ”をぷるんと振るわせて、精一杯の笑顔で頷き返してきました。
「お兄ちゃんっ、やっぱりお兄ちゃんだぁっ♪」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねて、数ヶ月ぶりの再会を体じゅうで表現してみせる真紀ちゃんを前にしていると、ついさっきまで気落ちしていたのがどこへやら、嬉しさが伝染してしまったお兄さん、
「真紀ちゃん……ははっ、真紀ちゃんっ!」
 ここが人目につく往来だということも忘れて、見た目そのままに軽い真紀ちゃんを、高い高いでもするみたいに抱え上げてしまいました。
 お兄さんが補習を受けなければ、あるいは真紀ちゃんが雪の中のお散歩を洒落込もうとお家を出なければ、決して巡り会うことのなかったこの機会を、偶然の一言で片づけてしまうのは簡単です。
 けれど、今日はクリスマスイブなのですから、もうちょっと気の利いた言い回しをしてもいいと思いませんか?
 では、それらしく――。
 冷たい北風に雪が舞う聖夜を前に、偶然は奇跡となって、まるで約束されていたことのように再会したお兄さんと真紀ちゃん――もしかしたら、今日のこの出会いこそ、サンタクロースが用意してくれた贈り物だったのかもしれませんね。

 この寒さにこの雪ですから、さすがに訪れる人も少ない公園は、うっすらと雪化粧をして、いつもとは違った装いで二人を出迎えました。
 新雪に覆われた砂利道の上に、赤い長靴で小さな足跡を付けて回る真紀ちゃん、いつにないはしゃぎっぷりですが、久しぶりにお兄さんに出会えたばかりか、プレゼントまで貰えたのですから、全身で嬉しさを表現したくてたまらないようです。
 そのプレゼントとは、アクセントに子猫をあしらったマスコットのついたゴムの髪留めと、それ自体は大したものではなかったのですが、密かなお洒落アイテ ムをお兄さんが覚えてくれていたことに、真紀ちゃんは大感激――フードそっちのけでプレゼントされたばかりの髪留めをお披露目しているくらいですから、相 当な喜びようです。
「あんまりはしゃぐと転んじゃうよ。――はい」
 縦横無尽に入り乱れる足跡を追いかけてきたお兄さんは、天使の輪っかみたいに頭に積もった雪を手で払うと、来る途中のコンビニで買ってきた肉まんを半分こして差し出しました。
「わぁっ、ありがとー♪」
 もうもうと湯気を立てる肉まんを両手で受け取って、ふーふーと息を吹きかけてから、まずは一口。
 会社の年末進行で、パパもママも帰りが遅くなってしまうとあって、一家揃ってのささやかなクリスマスパーティーにはまだ時間がありますから、これくらいのおやつは許容範囲内です。
 ママから頼まれていたお料理の下ごしらえも終わって、時間を潰そうとお散歩に出かけたのはほんの思いつきからのことでしたが、その先でお兄さんと再会できるなんて、まるで思っても見なかった真紀ちゃん、
「えへへ♪」
 数百円のプレゼントと肉まんで幸せいっぱいになれるなんて、安上がりなことこの上ありませんが、幸せなんてお金の額で決まるものじゃありません。
 ちらっと上を見上げると、缶コーヒーに口をつけているお兄さんと目が合ってしまって、思わずどきどき。
 夏休みみたいにお出かけしたりしなくても、きっとこういうのもデートなんだって思ったら、胸の奥がぽわんと温かくなったような気がしました。
「寒くない? ……そろそろ帰ろっか」
 そんな真紀ちゃんの心情を知ってか知らずか、お兄さんはそんなことを言ってきました。
 確かに、お兄さんの言う通り、薄暗くなってきた公園では、さすがにこれ以上デートを続行させるのは厳しそうです。
 それでも、久しぶりに会えたというのに、このままお別れなんて寂しすぎる気がして、真紀ちゃんは何も言えずに白い息を紡ぐばかり。
 だって、デートの後はお兄さんのお部屋で――って、この夏はずっとそうだったのですから、ねえ?
「……うん」
 けれど、ここは聞き分けのある真紀ちゃんのこと、わがままを言ってお兄さんを困らせるわけにもいきません。
 夏と違って日が落ちるのも早いですし、開放的な気分になるにはいささか無理のある季節ですから、仕方ないといえば仕方ないことですけれど。
 でも、やっぱりもうちょっと一緒にいたかったな――と、名残惜しそうなお顔で頷いて、くるっと回れ右した真紀ちゃんでしたが、
「あれ? そっちじゃないよ」
 という声に、また回れ右して正面に向き直りました。
「こっち――じゃないの?」
 というお兄さんが立てた親指の指し示す先は、真紀ちゃんのお家のある方向ではなく、お兄さんのお部屋のある方向――ということは。
「うんっ♪」
 ぱっとお顔を輝かせて、差し伸べられてきた手をぎゅっと掴まえた真紀ちゃん、頬っぺたが赤いのは、何も寒さのせいばかりではないようです。
 大通りとは反対側の人通りの少ない歩道に、大きな足跡と小さな足跡を並んでつけながら、手を繋いで歩く二人の姿は、聖夜の訪れとともに雪の中に紛れて、いつしか見えなくなっていました。

 六畳一間のお部屋とはいえ、いくらファンヒーターをもってしても、暖まるまでにはそれなりに時間がかかります。
 ハンガーにかけられて壁に並んだジャンパーとハーフコートの持ち主たちは、その間どうしたかというと、床を見ればおわかりの通り、着ていた服をみんな脱いでしまったみたいです。
 学生服やらワイシャツやら、その傍らにセーターやらタイツやらが下着と一緒に脱ぎ散らかされているところを見るに、二人して裸になったのは間違いなさそうですが、ただでさえ寒いお部屋で寒い格好をすることに、いったい何のメリットがあることやら。
 そう思いきや、お部屋のどこを探しても二人の姿はありません。玄関脇のドアの向こうから、何やら話し声が聞こえてくるようですが――。
 ……ははあ、なるほど、お風呂という手がありました。室温はすぐに上がらなくても、水温はすぐに上げることができますからね。
 狭いユニットバスに二人で入るという発想は、なるほど真紀ちゃんが相手だったら充分に考えられます。二人ぶんの体積があるわけですから、お湯もすぐに溜まりますしね。
 でも、お風呂ということはやっぱり裸なわけで、年齢差があるとはいえ男と女、それもお兄さんと真紀ちゃんとあっては、ただ温まるだけでは終わらない予感がひしひしと……。
 久しぶりのところに水を差すようで気が引けますが、ちょっとだけドアの向こうを覗いてみることにしましょう――。

 夏にあれだけエッチしていてなお、真紀ちゃんにしげしげと見つめられてしまうと、どうにもこうにも落ち着かないお兄さん、ある程度お湯が溜まったところで順次シャワーに切り替えて、体が冷えないようにしました。
「……おちんちん、縮んじゃったの?」
 狭いバスタブで向かい合うと、どうしても目についてしまうおちんちんに、きょとんとしたお顔の真紀ちゃん、こちらはいつもの“しっぽ”を解いたことで、イメージががらっと変わって見えます。
「寒いとこうなっちゃうんだよ」
 苦笑しつつ答えたお兄さんのおちんちんは、確かにミニサイズに縮こまっていて、亀頭の中ほどまでが皮の中に埋没しています。
 いつも完全に勃起した状態のおちんちんを目にしていただけに、その様子が何だか可哀想に思えたのでしょう、温めてあげれば元通りになるかもしれないと、いかにも真紀ちゃんらしい考えに思い至ったらしく、
「じゃあ、おしゃぶり……したげるね」
 髪の毛を耳の上にかき上げる仕草もどこか色っぽく、やんわりと唇を押し当てた真紀ちゃんは、そのまま縮こまったおちんちんをお口いっぱいに頬張ってしまいました。
「ぅあ……真紀ちゃんの舌、すごくあったかいよ」
 ずいぶんと久しぶりの感触に、ため息にも似た吐息を漏らしたお兄さんは、お湯が溜まるにつれて腰を上げ、真紀ちゃんのご奉仕にすっかりご満悦の様子。
「むぁ……っぷ……おっひく……なってひたよぉ……」
 お口の中で徐々に固さと体積を増してきたおちんちんに、真紀ちゃんの声もどことなく上ずっているように聞こえます。
 ちゅぱ……れりゅ……るりゅぅ……。
 おちんちんの形状に沿って舌を這わせているうちに、喉につかえそうなくらいに勃起してきたことで、すっかり得意になってしまった真紀ちゃん、
「んむっ……んっ……んふゅぅ……」
 鼻にかかった声も艶かしく、お口に収まりきらない部分は右手でしこしこ、舌先で尿道口をくすぐったりなんかして、おしゃぶりのテクニックが板についているというか何というか。
 数ヶ月間のブランクをものともしない真紀ちゃんですが、対するお兄さんはというと、どうやらそうでもなかったようで――。
「……真紀ちゃん、もう……出ちゃうよ……っ!」
 中腰の体勢で足をがくがくと震わせているところから察するに、限界はすぐそこまでやってきているようです。が、真紀ちゃんが夏に教えてもらったのは、何もおしゃぶりだけではなかったのでした。
「ふぅん……ひぃほ――」
 うん、いいよ――と言ったつもりでも、くぐもった音にしかならなかった合図は、お兄さんにもしっかり伝わりました。
 あるいは、そうする他に手立てがなかったのかもしれませんが、それはまあさておき。
「出るっ……くぁ……あぁ――ッ!」
 どきゅっ! びゅくっ! びゅるんっ!
「んぅっ! ぅんっ! んふぅうぅっ!」
 喉に勢いよく打ちつけ、舌の上に広がった奔流を、きちんと受け止めてあげた真紀ちゃん、その勢いが次第に大人しくなるにつれて、お口いっぱいに 溜まっていた精液を、こくん、こくんと飲み下していきます。
 ……ちゅずっ……ずぢゅうぅうぅ……ちゅるんっ!
 それだけでなく、尿道に残ったぶんもちゃんと吸い上げて、ゆるゆるとおちんちんから唇を離しては、粘っこい糸を引く残滓をこれまた啜り上げてごっくん、
「……ぷぁ……」
 ようやく吐くことが許された息は、むわっとする匂いをぷんぷんとさせていたのですが、真紀ちゃんのお顔は甘いお菓子でも食べた後みたいに幸せそうで、それだけでも夏にどれだけのことがあったのかが窺えるというもの。
 そう――今の真紀ちゃんがあるのは、夏休みにほぼ毎日に渡ってエッチしてきた賜物でもあるわけなのですが、その成果がお兄さんだけでなく、色んな男の人を相手に如何なく発揮されているということは、ここであえて語らないほうがよさそうです。
「すごく……気持ちよかったよ」
 頭を撫で撫でされて嬉しがるあたりは歳相応でも、実際にやっていることは大人顔負けなわけですから、妙にアンバランスというか――でも、そのアンバランスさこそが、真紀ちゃんらしいと言えばらしいのでしょう。

 ともあれ、一度達してしまったからには攻守交替、その場で後ろ向きにお尻を高く掲げた真紀ちゃんのあそこは、早くもじゅんと潤っていました。
「真紀ちゃんのここ、すごく久しぶりだよ……」
 両手で割れ目をくにゅっと広げたお兄さん、つやつやしたサーモンピンクの中にある膣口に、ふっと息を吹きかけました。
「あっ……ん……」
 直接的ではないその官能に、いったんきゅっとすぼまった膣口がぱっくりと開くのが、実際に見えているわけでもない真紀ちゃんにもわかりました。
 そこがおちんちんを入れるためにある穴だということを、夏休みの間にたっぷりと教え込まれたこともあって、今では見つめられているだけでも愛液が滲んで しまうほどに成長した真紀ちゃん、今度はクリトリスをきゅっと剥き上げられて、上下のお口からよだれを垂らしちゃったりなんかして。
「久しぶりだから、こっちのほうも見せてね」
 続けざまに親指でお尻を左右に開かれてしまったことで、お尻の穴も余すところなくお兄さんの目に晒されて、いよいよもって胸はどきどき、おなかの奥がうずうずしてきた真紀ちゃんです。
 紆余曲折と言いましょうか、何のかんのあって色んな男の人とエッチしてきても、顔馴染のお相手というのは(今のところ)お兄さんだけですから、エンジンのかかりようだって俄然違うというもの。
 なので、お兄さんの舌にクリトリスからお尻の穴までを舐め上げられただけで、
「ふぁっ……ぁあぁあぁんっ!」
 びくんびくんと背筋を仰け反らせているところから察するに、軽く達してしまったのは間違いなさそうです。
「あれ? イっちゃった?」
 きゅうっと膣口とお尻の穴がすぼまって、ひくひくと太腿を痙攣させている真紀ちゃんに、これ見よがしに訊ねるお兄さんの声ってば、すごく嬉しそう。
「ぅんっ! お……にちゃぁ……はぁあぁんっ!」
 まだまだお湯は溜まりきっていないのに、寒さを感じるどころではない真紀ちゃん、足に力が入らなくて、今にも尻餅をついてしまいそうなのに、再びあそこに吸いついてきたお兄さんによって、それすらもままなりません。
 つちゅ……ちゅ……ぢゅっ……ちゅぴゅ……。
 舌先でクリトリスを転がされ、おしっこの穴をくすぐられ、膣口をこね回され、お尻の穴をほじられ――順序よく、あるいはランダムにもたらされる、それぞ れが微妙に異なってもすべからく快感であることには変わりない感覚の前に、真紀ちゃんは早くもギブアップ寸前です。
「ひゃうぅっ! きもひ……ひもち……ぃひぃいぃっ!」
 ここ数ヶ月ぶんをいっぺんに取り戻すかのような舌使いによって翻弄され、お兄さんに支えられていなければ今にも溺れてしまいそうな真紀ちゃん、
 ぴしゅっ! ぷしゅっ! ぴぢゅっ!
「ぷしゃって、ぷしゃって……なっひゃうぅうぅっ!」
 すっかり潮吹き癖がついてしまったのでしょう、お風呂の中だというのに、断続的に吹き出して太腿に伝う愛液にも、そこはかとない快感は存在していました。
「相変わらず敏感だね」
 そうでもしなければ唇を離そうともしなかったお兄さんは、恥ずかしがる真紀ちゃんを抱き寄せると、両足をぐいっと抱え上げるやいなや、
「もっといっぱい――しちゃっていいんだよ」
 悪戯っぽい笑みを浮かべて、ようやく一息つくことができた膣内へ、ぬっと中指を潜り込ませたのでした。
「ゃうぅっ! またっ、またでちゃ……出ひゃうぅうぅっ!」
 膣内で鉤の字に曲げられた指によって、巧みに『ぷしゃってなっちゃう』ポイントを突かれてしまった真紀ちゃん、
 ぷぢゅっ! しゅぴっ! ぷっ……しゃあぁあっ!
 おしっこみたいに吹き上げた愛液が、ぱちゃぱちゃと湯面を叩く音に、お顔はもう真っ赤っか。
「恥ずかし……っ……ぅむぅんん――」
 それなのに、うつむいてしまうより先にキスされてしまって、愛液の味がする舌に絡めとられてしまったとあっては、お口の中を舐め回される快感に、なすがままもいいところ。
「んふ……ふぅん……んぁ……」
 キスの合間にも、お兄さんの手はぺったんこなおっぱいに触れて、ぷっくりと盛り上がった先っぽを指先で転がしたり弾いたり――夏のエッチで成長したのは、何も真紀ちゃんばかりではなかったのでした。

 しかも、お兄さんは真紀ちゃん専用に腕を上げたとあって、我慢できないくらい昂ぶらせたかと思いきや、一転してもどかしいくらいに焦らしてきたりと、出会ったばかりの頃に比べたら、なるほど真紀ちゃんが一緒にいたがるわけです。
「……どうする? このまましちゃう? それとも――」
 やがて湯船いっぱいにお湯が満ちる頃、キスですっかり骨抜きになった真紀ちゃんのあそこにおちんちんをあてがいながら、お兄さんはそんなわかりきったことを訊いてきました。
「――このまま……するぅ」
 瞳もあそこも潤みっぱなしに潤んで、お湯以上におちんちんで体の芯から温めてもらいたくて、ややもすれば離れていってしまいそうなおちんちんを、真紀ちゃんは手ずから膣口へと導いて――。
 づぷぅ……っ!
「っあ! ぁあぁんっ! ぉちんち……おちんち ……ぃんっ!」
 おちんちんが膣口をこじ開けて、お湯と一緒に膣内を満たしてくるその熱さに、寒くもないのに背筋が震えるのを止められません。
 ……づぬぅうぅうっ!
 今ではすっかりおちんちんの味を占めてしまったあそこは、体格差なりに半分ほどまで咥え込んだところで、いったんその侵入をストップさせてしまいましたが、
「んぅうっ! ぉくっ……奥にぃ……きちゃ……ぁうぅ――ッ!」
 づぅ……っ……ぐぷんっ!
 第二の膣口とも言える子宮口を突き上げ、その弾力に満ちた障壁を突破されてしまっては、 もはや真紀ちゃんには為す術もありません。
「ぜんぶ、入っちゃった。……ほら、おなかが膨らんでるよ?」
 お兄さんに言われなくとも、おへその下のあたりがぽっこりとおちんちんの形に膨らんでいて、子宮までもが満たされているその感覚に、真紀ちゃんはわかっているのかいないのか、こくこくと首を縦に振るばかり。
 苦しいようで気持ちよく、痛いようでむず痒い、相反する感覚が綯い交ぜになった子宮内への挿入は、けれどお兄さんが動きはじめたことによって、問答無用の快感となって真紀ちゃんを揺さぶってきたのでした。
「ぁうっ! ふぁっ! はぁんっ! ゃんっ!」
 ちゃぷちゃぷと波打つ湯面に合わせて、下からおなかの奥の奥までを突き上げられている真紀ちゃん、濡れ髪を左右に振り乱して、飛び散った水滴がきらきらと輝いて見えます。
 プールの更衣室で、公園の雑木林の陰で、誰も来ない磯辺で、そしてこのお部屋でと、幾度となく繰り返してきた行為のはずなのに、いつもと違う気持ちよさがあるのは、久しぶりだからなのか、それともお風呂でしているからなのか――。
 そんな考えに思いを巡らせる間も与えず、体の中心から背筋を脳天まで駆け上がってくる快感を前にして、真紀ちゃんは早くも昇りつめようとしていました。
 づちゅっ! づちゅっ! づちゅっ! づちゅっ! づちゅっ! づちゅっ!
「……っちゃうっ……イっちゃ……ぅうぅ――ッ! ふぁあぁあぁあぁあぁ――ッ!」
 目の前であそこにおちんちんが出たり入ったりしているわけですから、生々しいことこの上ない光景に第一波が訪れたのも当然のこと。
 ぶるるっと全身を震わせつつ、絶頂の余韻も冷めやらぬままにお兄さんにもたれかかって、はぁはぁと荒い吐息を紡ぐ真紀ちゃん、それに合わせてぽよよんとしたおなかが上下しています。

 これで何とか引き分けに持ち込めた二人、あそことおちんちんを繋がり合わせたまま、どちらからともなくくすくすと笑い出しました。
 バスタブを満たしたお湯の中でするエッチに、二人して同じ気持ちだったことを確かめ合ったらしく、
「……あったかくって、きもちいい……」
 抱きとめてくれているお兄さんの上で、これ以上はないというくらいに至福の表情を浮かべた真紀ちゃんに、
「気持ちいいのはお風呂? それともセックス?」
 なんて、耳たぶに舌を這わせながらお兄さんが訊ねてきたものですから、
「お風呂も……せっくすも……どっちも気持ちいいよぉ」
 そう正直に答えざるを得なかった真紀ちゃんです。
 久しぶりに会ったはずなのに、会えなかった期間を感じさせないほどしっくりくる会話とおちんちんに、お兄さんのことが前よりも好きになってしまった真紀ちゃん、耳をくすぐるお兄さんの舌に、首を巡らせてちゅっと吸いつきました。
 ちゅっ……ちゅぴ……ちゅぷ……ちゅむ……。
 舌と舌が絡まり合う艶かしい音が響く中、おなかをいっぱいにしているおちんちんの脈動が、そのまま胸の鼓動にも伝染したような錯覚さえ覚えて、知らず知らずのうちに胎内をきゅうんと締めつけてしまった真紀ちゃんでした。
「……真紀ちゃん、子宮に射精しちゃうよ」
 たとえ動かなくても、キスとその締めつけだけで充分だったのでしょう、きゅうきゅうの膣内で震えるおちんちんの限界は、その宣告以上に真紀ちゃんにも伝わりました。
 お兄さんが射精したがっている――それをどうして真紀ちゃんが止められましょう。
 さっき飲んだのと同じ熱い奔流が、お湯以上の熱さでもって胎内に打ちつけるその瞬間を、頭ではなく体が待ち望んでいたのは、膣内と子宮口が一気に収縮を見せたことからしても明らかです。
「……っく! ……は……ぁ……」
 どびゅりゅっ! びゅぎゅるっ! びゅぐっ! どぎゅんっ!
「……ふぁ……しきぅに……しゃせぇ……してるぅ……んっ! ふぁあぁあぁあぁっ!」
 おなかがぽこっと膨らむくらいに迸った精液を、そのちっちゃな体で受け止めながら、お湯に包まれていてなお、全身をぶるるっと震わせた真紀ちゃん、膣内射精のもたらす甘美な感覚につられて、二度目の絶頂に導かれてしまいました。
 これでまた五分五分となった二人、絶頂の余韻も続くキスで第三ラウンドに持ち越しとあっては、こちらとしてもそろそろおいとましたほうがよさそうです。
 まだまだエッチは継続中といったところでしょうが、これ以上二人の仲を覗き見るのも野暮というもの。
 何しろ、今日はクリスマスイブですし、そこらへんはこの奇跡的な再会をもたらしてくれたサンタクロースにだって、わかりきっていることでしょうから――。

 何はともあれ、メリークリスマス。


おわり