おしり な しおり れべる 3(後)

作  竹海 楼蘭

 サンダルと長靴が脱ぎ散らかされたままになっている玄関から、お風呂場へと続く廊下には、大きな足跡と小さな足跡が、二つ仲良く点々と並んでいました。
 アコーディオンカーテンで仕切られた脱衣場には、裏返しになったTシャツと薄手のレインコートが、洗面台の上に無造作に放置されています。元はストーン ウォッシュだったのでしょうが、雨に濡れてネイビーブルーにしか見えないジーンズは、さすがにそのままにはしておけなかったのか、乾燥機の中でぐるぐる 回っていました。
 一方、真夜中のお散歩から帰ってきた栞ちゃんとお兄さんはというと、あれだけ天然のシャワーを浴びておきながら、曇りガラスの向こうで仲良くお風呂タイムのようです。
 お出かけの前にお風呂を沸かしておいたお兄さんの作戦勝ちとでも言いましょうか、いくら夏とはいえ、雨に濡れればそれなりに体も冷えますから、温かいお湯に肩まで浸かって極楽気分。
「……ふぅ」
 こんなに夜更かししたのも初めてなら、お兄さんと一緒に一夜を過ごすのも初めての栞ちゃん、ほんのりお顔が赤いのは、早くものぼせてしまったからなのでしょうか。
「のぼせちゃった?」
 湯船の中、もたれかかってきた栞ちゃんを抱きとめたお兄さんもそう思ったようですが、ふるふると首を振った栞ちゃんは、熱っぽいため息一つ、お兄さんの胸に頬っぺたをすりすりさせてきました。
「ぅくっ……栞、くすぐったいよ」
 いつになく甘えたがりの栞ちゃんに、身をよじって笑いを堪えているお兄さん、それでもちゃっかり指先でお尻の穴をぐにぐにしていたりして、さり気ないフォローも忘れてはいません。
「そういえば、こっちのほうはずっとお預けだったもんね。……栞のアナル、待ちきれなくなっちゃったのかな?」
 耳元で囁きかけるお兄さんの言う通り、晩ご飯の準備からこっち、お尻弄りはずっとお預け状態でしたから、焦らされまくった栞ちゃんのお尻は、刺激欲しさに持ち主をずいぶんと大胆かつ積極的にさせていたのでした。
「うん……いっぱい可愛がってほしいの……」
 お尻から込み上げてくる気持ちよさも手伝って、思ったままを口にできた栞ちゃんに、お兄さんは空いていたほうの手で、きゅっとおっぱいの先っぽを抓むと、
「可愛がってってのは、おちんちんでずぽずぽしてって――そういうことなのかな?」
 なんて、栞ちゃんが悦びそうな予告をすると、耳たぶにかりっと歯を当てたのでした。
「きひっ……ぃいぃいぃ――っ!」
 あまり神経が通っていない耳たぶへの刺激でも、いまや全身が性感帯にも等しい栞ちゃんってば、それだけで軽く昇りつめてしまったようです。
 今からこんなだと、これから先が思いやられるようですが、焦らされていたのはお兄さんも同じこと。栞ちゃんの太腿が軽く触れたりしただけで、さっきからずっと勃起しっぱなしのおちんちんは、すぐにでも暴発しそうな勢いだったのですから。
「栞、“あーん”ってして」
 なので、ここはひとまず、落ち着いておく必要があったのでしょう、ざばーっとお湯を溢れさせながら立ち上がったお兄さんは、栞ちゃんの鼻先におちんちんを突きつけると、言いつけに従って“あーん”したお口に、ぱんぱんに膨れ上がった亀頭を含ませたのでした。


ちゅくちゅくちゅくちゅくちゅく……。
 濡れたおちんちんを猛烈な勢いでしごく音が、狭いお風呂場にいやらしく響き渡ります。
 こうしていると見えませんが、お兄さんの上下運動に合わせて、栞ちゃんも鈴口やくびれたところを舌先でちろちろしてあげたり、しょっぱい先走り液をちゅうちゅう吸ったりと、ずいぶんと熱のこもったご奉仕を心がけていたのでした。
「……このまま出すけど、飲んだりこぼしたりしたらダメだからね」
「んふぅ」
 頷くこともできないので、鼻にかかった声と瞬きで了解の意を伝えた栞ちゃんに、手のストロークをよりいっそう激しいものにしたお兄さんは、すぐさま初弾を撃ち出してしまいました。
びゅっ!
「んっ!」
びゅるっ! びゅるるるっ! びゅるっ! びゅっ! びゅっ!
「んぅっ! ふぅんんっ! んふっ! んっ! ふっ!」
 お昼過ぎにあんなに出したというのに、量も勢いも何一つ変わらない精液をお口で受け止めながら、舌の上に広がる生っぽい味と、鼻に抜ける生っぽい匂いに、栞ちゃんはというと、文字通り閉口するどころか、実にうっとりとしたお顔をしているじゃありませんか。
ずびゅ……ずぢゅうぅうぅうぅ〜……。
 しかも、ちゃんと尿道に残ったぶんまで吸い上げて、頬っぺたを軽く膨らませている栞ちゃんに、射精の余韻に足を震わせているお兄さんは、満足したような吐息を一つ、
「じゃあ、また“あーん”ってしてごらん」
 おとがいに指を当てて、お顔を上のほうに向かせたのでした。
「……んぁ」
 注意深くそろそろと開いたお口の中で、白濁した精液と唾液とが混じり合っているのが見えます。懸命にこぼさないようにしたつもりでも、唇の端から糸を引いてしまっているのは、この際、仕方がなかったと言えるでしょう。
「栞、飲みたい?」
 という問いかけにも、声を出すことも頷くこともできない栞ちゃんですから、お目々をうるうるさせてそうしたい旨を伝えたところ、『目は口ほどにものを言う』の喩えではないにせよ、お兄さんにはしっかりと伝わったようでした。
 射精したばかりとはいえ、まだまだ萎えるには早いおちんちんをもう一度お口に含ませて、目を細めたお兄さん、
「今度は、ちゃんと飲めると思うよ」
 言うが早いが、再びおしっこをしはじめたのには、栞ちゃんもびっくりしてしまいました。
……じょろろろろろろろろろろろろ……。
「……んぅ……んむ……んんっ……」
 公園のときとは違って、味も匂いも薄いおしっこが、舌に残る精液の粘っこさを拭い去ってくれます。
 それもあって、今度こそお兄さんのおしっこを美味しくいただけた栞ちゃん、精液混じりのおしっこに喉を鳴らすそのお顔ったら、ものすごく幸せそう。
「……ぷぁ。……お兄ちゃんのおしっこ、飲んじゃったぁ」
 やっていることは『ヘン』極まりなくても、お兄さんに頭を撫で撫でされれば、ぜんぜん気にならなくなるというもの。
 自分がそうしてもらったように、お兄さんにも同じことをしてあげられた嬉しさは、栞ちゃんにとって、かけがえのないものだったに違いありません。
「美味しかった?」
「うん」
 舌から喉にかけての余韻と、おなかを満たしているぬくもり、そして何よりも大好きなお兄さんのおしっこをちゃんと飲めたという誇らしさが、栞ちゃんを笑顔にしていました。

 しかも、精液とおしっこのカクテルは、栞ちゃんを酔わせるのに充分すぎるほどの効果を発揮したようで、もっともっと『ヘン』なことをしたい、されたいという衝動は、理性をすっかり蝕んでいたのでした。
「じゃあ、次は栞の番だね」
 そんな雰囲気を読み取ったのか、再びお湯に浸かったお兄さんと入れ替わりに、今度はお湯を溢れさせることなく立ち上がった栞ちゃん、いつものように後ろを向こうとすると、
「ちょっと待った。ここにしゃがんで……うん、そんな感じ」
 そのまま浴槽の角のところにしゃがまされて、必然的に90°の角度で両足をM字に開く格好をとらされてしまいました。
 こうなると、まるで和式のおトイレにしゃがんでいるみたいで、お兄さんのほうからだと栞ちゃんの恥ずかしい部分が丸見えもいいところです。
 現に、お尻の穴はいざ知らず、剥き卵みたいなつるつるのあそこも、下に位置するお兄さんからはばっちり見えてしまうという、まさにベストポジション。
「うん、栞の一番可愛いところがちゃんと見える」
 下から手を伸ばしてお尻を左右に広げたお兄さんは、ずいぶんと満足そう。
「うん……恥ずかしいよぉ……」
 見られ慣れているはずなのに、格好がそうさせるのでしょうか、いつもよりどきどき感が高まっている栞ちゃん、この体勢だとお兄さんが何をしているのか見えませんから、それもそのはずです。
 むにっと開かれたお尻の穴は、度重なる拡張の甲斐あって、何もしなくても指一本くらいなら余裕で入りそうなお口を開けていますし、ついでに広げられた手 つかずのあそこは、薄いサーモンピンク色に濡れ光って、閉じ合わさった膣口から小ぢんまりとしたクリトリスまで、そのすべてを見せつけていました。
「お尻の穴だけじゃなくて、おまんこも食べちゃいたいくらい可愛いよ」
 無類のお尻好きでも、そんな光景を前にしては、目移りだってしてしまうというもの。お兄さんといえど、例外ではありません。
 剥き身の貝みたいに美味しそうな中身を見せつけるあそこに、お兄さんはふーっと息を吹きかけると、丸ごと食べてしまうかのようにお口をつけたのでした。
「あっ、あんっ!」
 ぴったりと吸いついた唇の感触と、続けざまにねっとりと張りついてきた舌の感触に、体がびくびくっと震えます。
ぴちゅ……ぺちゅ……ぷちゅ……。
 未開通の膣口と、隠れたままのクリトリスとを往復する舌の動きも、
ちゅっ……つちゅ……ちゅるっ……。
 樹液のように滲み出てきた愛液を啜る音も、
ぬむ……ぬりゅ……ぬちゅ……。
 両方の人差し指でお尻の穴を広げられる感覚も――いえ、何もかもがいつにも増して鮮烈に神経を駆け上がってきて、栞ちゃんの声がお風呂場いっぱいに響き渡るのに、そう時間はかかりませんでした。
「あぁあっ! あっ! あんっ! んぁあっ! ふぁあっ!」
 くすぐったいような、むず痒いような、それでいて切ないような快感がごっちゃになって、リズミカルな喘ぎ声を漏らしつつ、肩やお尻を小刻みに震わせてダンスしている栞ちゃん、ずいぶんと気持ちよさそうです。

れりゅ……るりゅぅ……りゅぷぅ……。
 そんなですから、いつの間にか舌に直腸内を舐め回されていたことにすら、気づかずじまいだった栞ちゃん、
ちゅくっ……くちゅっ……ちゅりゅっ……。
 お尻の中まで舐められているのに加えて、クリトリスと尿道口、それに膣口を絶妙な力加減でくすぐられたとあっては、体のバランスを保つことも難しかったに違いありません。
「ぁふっ! くぅんっ! きゃふぅっ! ――ぅあ?」
 思いきり仰け反ってしまったせいで、すっかりバランスを崩してしまったのでしょう、ぐらっと後ろ向きに倒れたのはともかくとして、手を伸ばした先に掴むところもなければ、到底踏ん張りなんて利くはずもなく――。
ざっぱーん!
 盛大な水飛沫を上げて、後ろ向きの格好のまま、湯船の中に落ちてしまったのでした。
「――おおっとぉっ!?」
 もっとも、そこは頼りがいのあるお兄さんのこと、咄嗟に手を伸ばして受け止めようとしたのはさすがです。
が――。
ぬりゅりゅりゅうぅうっ!
 不測の事態とは、こんな状況のことを指すのでしょう――おそらく。
 だって、ほぼ垂直に落下した栞ちゃんの体は、お兄さんの手をすり抜けて、おちんちんの真上に落っこちてしまったのですから。
「ぅあぁあぁあぁあぁっ!?」
 少しのタイムラグを置いて、直腸を垂直に貫かれた栞ちゃんの口から、悲鳴とも歓喜ともつかない叫びが発せられました。
 落下時の浮遊感がもたらした緊張のおかげで、無意識のうちにきゅっとすぼめていたお尻の穴を、自重作用も加わって一気に貫かれたようなものですから、痛くないはずがありません。
「ぁうぅうぅうぅうぅっ?!」
 もちろん、不可抗力には違いありませんが、栞ちゃんの声を聞く限りにおいて、アクシデントの一言で片付けるわけにもいかないようです。
 というのも、無理やり挿入されたにも等しい苦痛が襲いかかってきたその直後に、痛みすら忘れてしまうほどの充足感がやってきたのですから、それが苦痛なのか快感なのか、当の本人にも判別がつかなかったのです。
 あるいは、そんな苦痛すらも快感に置き換えられてしまったのか、二、三度ぴくぴくと体を痙攣させていた栞ちゃんは、お尻の感覚がこれまでとはどこか違っていることに、ようやく気がつきました。
「……え? ……あ、あれ? ……お尻……どうしちゃったの……?」
 今にも泣きそうな声に、すわ何事かと栞ちゃんを抱えて湯船から上がったお兄さん、お尻の締めつけがいつにも増して緩いことに気がついたのは、その拍子にあっけなくおちんちんが抜けてしまったからなのでした。
「……大丈夫――大丈夫だから、ね?」
 おそらくは括約筋が一時的に弛緩してしまったのでしょう、おちんちんの直径と同じだけ、ぽっかりと口を開けたお尻の穴を鏡に映し出しながら、栞ちゃんを安心させるように、お兄さんは努めて明るい口調で告げました。
 肛門括約筋というのは、言わば輪ゴムみたいな性質を有していますから、急に引き伸ばされたおかげで感覚ごと麻痺してしまったに違いなく、痛みも長くは続かなかったと、つまりはそういったわけなのです。

「栞のお尻……このまま戻んないの?」
 開きっぱなしの上に、閉じようとしても言うことを聞かないお尻の穴に、不安そうな眼差しを向ける栞ちゃんでしたが、
「……ずっとオムツしなくちゃいけなくなるのかなぁ」
 なんて、ちょっとばかりずれた心配をしているようです。
「なんだ……そんなこと心配してたのか」
 元に戻らないことよりも、その後のことのほうが気がかりという、前向きなんだか心配性なんだかよくわからない栞ちゃんに、思わず笑いが込み上げてきたお兄さんでした。
「大丈夫だって言っただろ? 朝にはちゃんと元通りになってるよ。――それとも、栞ってば、赤ちゃんみたいにオムツしてほしいの?」
 からかうつもりで訊いてみたところ、頬っぺたを見る見るうちに真っ赤に染めて、栞ちゃんはうつむいてしまいました。
 これはひょっとすると――ひょっとするかもしれません。
「だったら、今度してあげようか。そうかぁ……栞ってば、赤ちゃんごっこしたかったんだね」
 ますますうつむいてしまった栞ちゃん、耳まで真っ赤になっています。
「……だって」
「だって、なに?」
「前におもらししたとき、お兄ちゃんにお尻きれいきれいされたの……すごく気持ちよかったんだもん」
 あらら……あのとき、すぐにご機嫌になったのは、そういうわけだったのですね。
 恥ずかしさも喉元過ぎれば何とやら、またもやいけない快感に目覚めてしまった栞ちゃんですが、お兄さんからすれば、そんな栞ちゃんが可愛く思えて仕方なかったに違いありません。
 しかも、可愛い子ほど意地悪してみたくなるのが、悲しいかな男の習性というもので、
「じゃあ、栞がいつでもオムツしていられるよう、元通りにならないくらいまで広げちゃおうか」
 両手の人差し指を鉤みたいにして、お尻の穴をめいっぱい広げたお兄さん、鮮紅色をした直腸の中を栞ちゃんに見せつけたのでした。
「やぁ……栞のおなかの中、見えちゃってるよぉ……」
 怪我の功名というわけではないにせよ、こんなときでもなければ目にする機会などなかっただろうお尻の内側に、声とは裏腹にどきどきしてしまった栞ちゃんです。
 うんちが出てくるところとは思えないほど綺麗な色をしたそこは、むしろおちんちんを入れるところといったほうがしっくりきます。そのおちんちんでさえ入ってしまうのが不思議なくらいでしたが、ここまで広がった今なら、大根さんにも勝てそうな気がしました。
「そういえば、ちょうどいいのを買ってきたんだっけ――」
 何やらひらめき顔のお兄さん、いったん栞ちゃんを膝から下ろすと、お風呂場のドアを開けて、洗面台の上に置いていた“ちょうどいいの”を手にしました。
 そう。お気づきの通り、栞ちゃんが恥ずかしい思いをして買ってきた、あのペットボトルです。
「いい形してるよね。……これ、お尻に入れたくて選んだんじゃないの?」
「ええっ? ……ち、違うよぉ!」
 言われてみれば、角がないまん丸のペットボトルは、確かに入れやすそうです――って、ふとそんなことを考えてしまった思考ごと振り払うかのように、栞ちゃんは濡れ髪をぶんぶんと振って否定しました。
 いくらなんでも、こんなのを入れたりしたら、お尻の穴が無事に済むとは思えません。お兄さんの言う通り、元通りにならなくなってしまうのではないでしょうか

「いいからいいから。――ほら、滑りやすくしといたから、自分でしてごらん」
 石鹸の泡にまみれた500ミリサイズのペットボトルを反射的に受け取って、危うく取り落としかけた栞ちゃんを、お兄さんは恒例のしーしーポーズやや上向きで抱っこしました。
「……しなくちゃだめ?」
「しなくちゃだめ」
「……ほんとに?」
「お尻が広がりっぱなしになったら、いつでも好きなときにアナルセックスできるんだろうなぁ……」
 どこかで聞いたようなやりとりに引き続き、これまた上手く丸め込まれてしまった栞ちゃんです。もちろん、お兄さんだって本気でそう思っているわけではありません。
「うん……じゃ、するね――」
 お尻の穴が広がりきっているとはいえ、さすがに分が悪そうなペットボトルとお兄さんのお顔を交互に見やって、恐る恐る飲み口の部分から押し当てていった栞ちゃん、お尻が壊れてしまわないよう、そのままゆっくりと押し込んでいきました。
「……おっき……いっ……」
……ずにゅ……ぅうぅ……。
 飲み口からラベルにかけて緩やかなカーブを描く上部が、広がったお尻の穴をさらに広げてゆきます。
「ふぅ……っんん……」
……にゅず……ぅうぅ……。
 ついにラベルのところが触れて、その1ミリにも満たない段差でさえ、栞ちゃんにはことさら敏感に感じ取れました。
「もうちょっとだよ……頑張れ」
 お兄さんの声も、どこか興奮気味です。じっとりと汗を浮かべて、自分自身の限界に挑戦しようとしている栞ちゃんは、そんなお兄さんの声援に応えるべく、さらにペットボトルを押し込みました。
……ず……ずっ……ずぅっ……ずぅうっ……。
 ラベルがだんだん隠れてゆくにつれて、直腸の圧迫感も高まってきます。痛みがない代わりに、異物感は相当なもので、知らず知らずのうちに呼吸が早まっていました。
「……はっ……はぁ……はぁっ……」
 肌の上を流れる汗が、ぽたぽたとタイルの上に滴り落ちる音と、二人ぶんの息遣いしか聞こえなくなった世界の中、早くも下半分を残して、ペットボトルは見事にお尻の穴に収まっています。
 下から押し上げられる形で盛り上がったあそこからは、ひっきりなしに愛液が垂れていて、それがまた潤滑油となったのでしょう、そこから先の挿入はずいぶんとスムーズになっていました。
「……ぁん……おなかぁ……いっぱいだよぉ……」
 高さは20cm以上、直径だって5cmは軽く超えますから、飲み口がS字結腸にまで届いたいま、そこから先へは物理的にも挿入できなくなったところで、栞ちゃんの手は止まりました。

「栞のおなかの奥まで見えるよ」
「うん……すごいね」
 凹んだ底の部分を通して見える、限界にまで広げられた腸内の艶かしさに、二人はしばらく見惚れていました。
 呼吸をするたび、まるで万華鏡みたいに形を変える直腸壁から、飲み口が当たっている大腸との境目までが、鏡に余すところなく映っています。ペットボトル に溜まってゆくのは、その奥から溢れてくる腸液なのでしょう、もはや手を離しても抜けないところまで深く入り込んでいましたから、今度はあそこを指で広げ てみせた栞ちゃんです。
「栞のおまんこ、すごくいやらしいよ……ペットボトルをお尻に入れて、こんなによだれ垂らしちゃってさ」
 じゅくじゅくという音さえ聞こえてきそうなほど、後から後からとめどなく愛液を溢れさせる膣口は、ひしゃげたような口を開けてお兄さんの目を釘付けにさせました。
「ここも……おちんちんが入るの?」
「そうだよ。……今度、おまんこでしてみようか」
 物珍しそうに見入っていた栞ちゃんも、どきどきが高まるままにこくんと頷きました。
 ついにペットボトルをクリアしてしまったことで、新たな目標が見えてきた栞ちゃんでしたが、
こんっ!
「ゃうぅっ!」
 おなかの奥を突き上げてきた衝撃に、つい大きな声を上げてぴんと背筋を伸ばしました。
 唐突に襲いかかってきた衝撃の正体は、何のことはない、お兄さんが中指で軽くペットボトルを弾いたことによるものです。
 知っての通り、ペットボトルは衝撃を吸収するように作られていませんから、先っぽまで走り抜けた衝撃は、ダイレクトにおなかに響いてきます。どんなに軽い衝撃でも、直腸全体に隈なく行き渡るとあっては、栞ちゃんとしてもたまったものではありません。
こんっ! こんこんっ!
「ぁうっ! ふぁうぅっ!」
 衝撃が走り抜けるたび、びくびくと背筋を震わせて、爪先をきゅっと内側に曲げていることから察するに、よほどの快感なのでしょう。こうなったが最後、お兄さんの独壇場になるのは目に見えています。
「栞、ペットボトルでイっちゃったら、罰ゲームにオムツ穿いてお出かけだからね」
「えぇっ! や、やだぁっ!」
 あまりにも勝率の低い賭けのような気がしますが、栞ちゃんに棄権が許されるはずもなく、
こんっ! こんこんっ! こここんっ! こん、ここんっ!
「人がたくさんいるとこでおもらししたら、それだけでイっちゃうんだろうなぁ」
「ひゃうっ! ぁうんぅうっ! おしりっ! おひりぃっ! らっ、らめぇっ!」
 リズムに合わせてペットボトルを弾く指に、おなかの奥深くから揺さぶられているような錯覚を覚えて、いよいよもって呂律が怪しくなってきました。
ここん、こんっ! こん、こここんっ! こんっ!
「ぅうんっ! んぁあぅっ! ぉひっ、おひっこぉおぉっ!」
ぷっしゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ……!
 下から尿道口を押し上げられているせいもあって、まるで霧吹きみたく吹き出したおしっこが、鏡に弾けてむわっと甘酸っぱい匂いを立ち込めさせます。
「ほら、おしっこしながらイっちゃえ!」
――こんっ!!
「イ……っくぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅ――ッ!」
 脳天まで突き上げてきた衝撃と、おしっこの解放感、それに加えて内圧でぬるっと抜け出ていこうとしているペットボトルに直腸を擦られて、それぞれが相乗効果となって栞ちゃんを絶頂の極みにまで押し上げました。
ぽふっ! こんっ、こん、ころころころ……。
 抜け落ちたペットボトルがタイルの上に転がる音と、おしっこまみれの鏡に映ったお尻の内側に、絶頂の余韻も冷め遣らない風の栞ちゃん、残念ながら賭けに は負けてしまいましたが、オムツを穿いてのデートもいいかも……なんて、すでに考えが明後日の方向に向いていたりして。
「――栞、今日はこれくらいにしとく?」
 そんな考えすらお見通しなのでしょう、お顔を覗き込むようにして訊いてきたお兄さんに、栞ちゃんはぷるぷると首を左右に振って応えました。
 二人だけの長い夜は、どうやらまだまだ続きそうです。

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 少しの気だるさの中で、栞ちゃんは目を覚ましました。
 カーテンの隙間から差し込む朝の陽射しは、昨夜の大雨が嘘みたいに思えるほど強く、今日も一日、暑くなりそうな気配を早くも漂わせています。
「……ぁ……」
 寝苦しいと思ったのもそのはず、目覚めたことで、今の今までお兄さんの上にうつ伏せになっていたと知ったのですから。
 いちいち起き上がって後ろを振り返らなくても、お尻におちんちんが入りっぱなしなのはわかります。お風呂から上がった後、ベッドでお兄さんの上に跨った ところまでは記憶がありますが、どうやら二人して、何度目かのアナルセックスの真っ最中に眠ってしまったようです。
(気持ち……いいな――)
 お尻で繋がり合ったまま迎えた初めての朝、あそこにちくちくと触れるお兄さんの陰毛の感触も、ほのかに漂う入り混じった汗の匂いも、頬っぺたに感じる規則正しい心臓の鼓動も、何もかもが気持ちよく感じられました。
 ペットボトルを飲み込んだことで、広がりっぱなしになったのではと危惧していたお尻の穴も、今ではすっかりおちんちんを包み込んでいましたから、それも併せて一安心の栞ちゃん、窓の外から聞こえてくる鳥の声とお兄さんの寝息に、ふわぁと小さなあくびを一つ。
 このままもう一眠りしたい気分ですが、その前にどうしても見ておきたいものがあって、栞ちゃんはお顔を上げました。
「ふふ……」
 気持ちよく眠っているところを起こさないよう、そっと上体を起こして覗き見たお兄さんの寝顔に、自然に口元が緩んでしまいます。
 お嫁さんになったら、いつもこんな朝を迎えられるんだろうな――なんて、ちょっぴりおませな幸せを満喫したりして。
 とはいえ、まだまだ眠り足りませんから、ゆっくりと腰を浮かせておちんちんを抜いた栞ちゃん、これまた起こさないように注意深く体を返して、おちんちんについたぬるぬるを、いつもより丹念に舐め取りました。
ぺろ……ぺちゅ……れりゅ……。
 精液と腸液の入り混じった何とも言えない味と匂いも、慣れっこになった今となっては美味しく感じられます。
 普段ならともかく、一緒に夜更かししたお兄さんが、それくらいのことで目を覚ますはずはないと踏んで、時間をかけておちんちんを綺麗にしてあげた栞ちゃんは、一仕事終えた充足感のまま、お兄さんに寄り添うようにして体を横たえると、
「おやすみなさい」
 小声で告げて、ちゅっと頬っぺたにキスしてから、お兄さんの腕に頭を乗せたのでした。
 ほどなくして、お兄さんと同じリズムで寝息を立てはじめた栞ちゃんったら、こんなに暑いにもかかわらず、ぴとっと体をくっつけて安らいだ寝顔。
 幸先のいい夏休みを迎えた栞ちゃん、腕枕をしているお兄さんとどんな予定を立てて過ごすのか、あれこれ気になるところではありますが、今は長い長い夜の疲れを癒すのが先決でしょう。
 お天気と同様、晴れ晴れとした気分で見る夢は、きっとお兄さんと一緒の日々を描いているに違いありません。
 二人とも、目を覚ました頃にはお昼を回っていることでしょうが、時間はまだまだたっぷりとありますから――。
 今はただ、おやすみなさい。



つづく